こちらはYouTubeにアップしている「みしむ式・タンク基礎講座」の補足記事です。
動画にいただいたコメントのうち、範囲攻撃の扱いについての回答を掘り下げて解説しています。
目次
範囲攻撃の使用について〈何体から範囲攻撃を使うか〉
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ご視聴、コメントありがとうございます。
範囲攻撃については、詳しく言えばバフの維持やデバフの付与、1体の体力が全体に比べて減っている場合など、随所で状況判断し単体攻撃を使った方が良い、2体以下であれば単体攻撃を振り分けて回せば良い、という意見もあるかと思います。ただ、動画は駆け出しタンクさんを対象としていることと、現状ではレベル80でもヘイトが飛ぶ様子をルーレット等でも目にしますので、慣れていない段階では《ヘイト安定>タンク個人の回し》に意識を向けて欲しいという意図(動画の最後で述べている理由)から、敵全体のヘイトを安定しやすい範囲攻撃を推奨しています。ちなみにレベルが上がり、範囲コンボを撃てるようになれば基本は範囲コンボの連打でしっかり火力が出るようになっています。
私は動画解説の中で「2体以上なら範囲攻撃」を推奨しています。
「何体から範囲攻撃を使うか」は突き詰めていくと複雑な部分で、どちらの方がダメージ効率が良いか、という理論的な答え以外に、状況判断から最適な選択をすべき場面も出てきます。特に状況判断は経験則やプレイヤー各々の考え方も絡むので最適解は出しづらく、動画の内容を「基礎講座」とするなら「何体から範囲攻撃を使うか」は応用にあたる部分です。
なのでまずは動画で解説している内容を実践して経験を積み、基本的な動きを無意識にこなせるくらい慣れてきたなら、それから意識してみて欲しいと思っています。
まだまだ動画の内容が難しいな、と感じるのであればシンプルに「2体以上なら範囲攻撃」と覚えておくことをおすすめします。
単体攻撃と範囲攻撃の使い分け:分かれ目は2体と3体
この記事では動画の内容よりさらにステップアップしたい方向けの発展的な内容として、単体攻撃と範囲攻撃の使い分けについて解説していきます。
最初に確認しておくと、範囲攻撃と単体攻撃の使い分けについては、
- 3体以上なら範囲攻撃
- 2体以下なら単体攻撃
と教えているタンクさんや解説記事・動画が多いですね。このあたりは解説記事・動画の作成時期によって違いが出ることもあるかな、と思います。
パッチ5.0ではタンクに限らず、幅広いジョブで範囲攻撃の威力に上方修正が入ったことから、全体的に範囲攻撃の有用性が上がっています。ただ、ジョブによっては3体以上でないと範囲攻撃で与えられるダメージが少ないなど効率が変わるため、一概に「この使い方が一番強い!」と言い切るのは難しいところでもあります。
アクションの威力とダメージ効率はジョブによって差があるので、自分の使っているジョブは下記記事で個別に確認してください。

ただ、パッチ5.0以前もパッチ5.25現在も敵の数が2体なのか、3体なのかが分かれ目となる点は同じです。
単体攻撃と範囲攻撃のWSのダメージ効率について
実例を挙げて考えるとわかりやすいので、暗黒騎士のアクションで考えてみましょう。
暗黒騎士の単体攻撃のコンボは「ハードスラッシュ」→「サイフォンストライク」→「ソウルイーター」です。合計威力は900。
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アクション | 威力(コンボ時) |
---|---|
ハードスラッシュ | 200 |
サイフォンストライク | 300 |
ソウルイーター | 400 |
合計 | 900 |
一方、範囲攻撃のコンボは「アンリーシュ」→「ストルワートソウル」。合計威力は310。
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アクション | 威力(コンボ時) |
---|---|
アンリーシュ | 150 |
ストルワートソウル | 160 |
合計 | 310 |
単体攻撃と範囲攻撃はコンボ数が違うので、攻撃回数が一致する6WS(WS6回分の攻撃)で考えましょう。
「WS」が何かよくわからない、という方は「みしむ式・DPS基礎講座」の中で解説しているので見てみてください。
アクション | 威力 | 敵1体 | 敵2体 | 敵3体 |
---|---|---|---|---|
単体コンボ2回 | 1,800 | 1,800 | 1,800 | 1,800 |
範囲コンボ3回 | 930 | 930 | 1,860 | 2,790 |
こうして見ると、敵が2体以上なら範囲攻撃の方がダメージ効率が高くなりますね。
ですが、暗黒騎士が「ストルワートソウル」を覚えるレベルは72。暗黒騎士は蒼天編でレベル30から解放されるジョブなので、範囲攻撃をコンボとして使えるようになるのはレベリングのかなり終盤です。ということは、レベル71までは範囲攻撃「アンリーシュ」のみを連打することになり、比較はこのように変化します。
アクション | 威力 | 敵1体 | 敵2体 | 敵3体 |
---|---|---|---|---|
単体コンボ2回 | 1,800 | 1,800 | 1,800 | 1,800 |
範囲攻撃3回 | 900 | 900 | 1,800 | 2,700 |
レベル71までで考えると単体コンボと範囲攻撃の威力が同じになりました。
敵3体以上なら範囲攻撃が上回りますが、2体以下ならどちらを使っても与えるダメージ自体は変わらないということですね。ただし、暗黒騎士の単体コンボに含まれるアクション「サイフォンストライク」と「ソウルイーター」、そして範囲コンボ「ストルワートソウル」には特殊効果が付与されています。
サイフォンストライク | コンボ時に自身のMPを回復する |
---|---|
ソウルイーター | コンボ時に自身のHPを回復する |
ストルワートソウル | コンボ時に自身のMPを回復する |
暗黒騎士はMP消費によって「暗黒の波動 / 漆黒の波動」「暗黒の剣 / 漆黒の剣」というアビリティが使えるので、レベル71以下ならダメージ効率が同じでも単体コンボを回した方が手数が増えることになります。逆にレベル72以上なら「ストルワートソウル」でもMP回復効果を得られるようになり、ダメージ効率も上がります。
ここまでを踏まえると、
- レベル71までなら敵が3体以上で範囲攻撃(アンリーシュ)
- レベル72以上は敵が2体以上で範囲コンボ(アンリーシュ→ストルワートソウル)
とするとダメージ効率が高くなりますね。
アビリティ「ブラッドスピラー」と「クワイタス」とWSの違い
が、これだけでは終わらない暗黒騎士。さらに複雑になるのがレベル62で覚える特性「ブラックブラッド」。
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「ブラックブラッド」は暗黒騎士専用のシステムで、「ブラッドゲージ」を溜めると「ブラッドスピラー」や「クワイタス」といった強力な攻撃を使うことができます。
アクション | ゲージ消費 | 威力 | 敵1体 | 敵2体 | 敵3体 |
---|---|---|---|---|---|
ブラッドスピラー(単体攻撃) | 50 | 600 | 600 | 600 | 600 |
クワイタス(範囲攻撃) | 50 | 210 | 210 | 420 | 630 |
ちょっと注意が必要なのは、WSの単体攻撃・範囲攻撃とは「ブラッドスピラー」「クワイタス」の関係性が違うこと。消費する「ブラッドゲージ」は単体攻撃「ブラッドスピラー」と範囲攻撃「クワイタス」でどちらも同量の50。この2つのアビリティについては、《3体以上ならクワイタス》を使うことでダメージ効率が良くなります。
- 2体以下なら「ブラッドスピラー」
- 3体以上なら「クワイタス」
そして、この2つのアビリティを使うために必要な「ブラッドゲージ」は単体コンボ3段目の「ソウルイーター」と、範囲コンボ2段目の「ストルワートソウル」使用時に20上昇していきます。WSの使用でゲージを溜めることによって、さらに強い単体・範囲攻撃が解禁されるということです。
ソウルイーター | ブラックブラッドを20上昇 |
---|---|
ストルワートソウル | ブラックブラッドを20上昇 |
言い替えると、WSでコンボを繰り出しつつ「ブラッドゲージ」を溜め、敵の数に応じて最適なアビリティを選んで使用することが求められるわけですね。
WSとアビリティの両面から考えるダメージ効率
なんだか要素が多すぎて混乱してきますが、WSの威力と「ブラッドゲージ」の溜まり方についてまとめるとこうなります。WSは6回、つまり単体コンボなら2周分、範囲コンボなら3周分で計算しています。
レベル | アクション | 敵2体 | 敵3体 | ブラッドゲージ |
---|---|---|---|---|
レベル61まで | ソウルイーター(単体) | 1800 | 1800 | - |
アンリーシュ(範囲) | 1800 | 2700 | - | |
レベル62~ (レベル64~) |
ソウルイーター(単体) | 1800 | 1800 | 40 |
アンリーシュ(範囲) | 1800 | 2700 | - | |
レベル71~ |
ソウルイーター(単体) | 1800 | 1800 | 40 |
ストルワートソウル(範囲) | 1860 | 2790 | 60 |
ようするに・・・どういうことか。こういうことです。
- 〈61まで〉2体以下⇒ソウルイーター/3体以上⇒アンリーシュ
- 〈62~〉2体以下⇒ソウルイーター・ブラッドスピラー/3体以上⇒アンリーシュ・クワイタス
- 〈71~〉2体以上⇒ストルワートソウル・ブラッドスピラー/3体以上⇒ストルワートソウル/クワイタス
実戦では理論的なダメージ効率だけでは最適は測れない
と、ダメージ効率で考えた場合の一応の答えは出るわけですが。
実戦ではここに状況判断も入ってきます。私の場合、ダメージ効率よりもむしろ状況に応じて使用するアクションを変えることの方がよくあります。
私がタンクを出している時によく見ているのはヒール頻度やDPSの火力・行動です。ヒーラーさんが不慣れだったり、ヒールが不足気味だと思えばダメージ効率よりも安全を取って単体攻撃コンボを回し、「ソウルイーター」によるHP回復を多めに入れたりします。また、DPSが特定の敵を集中攻撃して1体だけ体力が減っていたりすれば、範囲攻撃から単体攻撃に切り替えて削りに参加することもあります。
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ダンジョン等でタンクが落ちればPT壊滅の危機に陥るので、状況判断の要としているのは「最も生存率が高い選択」です。
ヒールが不足していたらバリアや体力回復を優先した方が落ちにくいですし、厄介な攻撃をしてくる敵を早めに倒しておけるならその方が安全です。PTが単体攻撃中心に戦っているのであれば、タンクも1体ずつ倒していった方が結果的に殲滅は速くなります。そして敵の数が減れば必要なヒールが減り、ヒーラーは攻撃に専念できます。
これまでに説明してきたダメージ効率はあくまでもタンク1人に限ったものです。
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タンクがどんなに上手くスキル回しを行っても、ポテンシャルの面でDPSとは大きな開きがありますし、タンク1人で攻撃するよりもタンクとヒーラー2人で攻撃した方が与えるダメージは高くなります。PTで戦っていること、PT全体のダメージ効率を上げることを意識するのが大切です。
スキル回しの工夫やダメージ効率はタンクの最重要項目ではない
そして何より、忘れてはならないのはタンクが最も注意を払うべきはヘイトの安定だということ。
スキル回しや立ち回りに気を取られ過ぎて敵視管理や誘導、スタン・沈黙などが疎かになっては意味がありません。それなら最初は「2体以上なら範囲攻撃」として、限りなくシンプルに覚えてしまった方が他の要素に集中できますし、ヒーラーやDPSもそれぞれの役割をこなしやすくなります。
ダメージ効率や状況に応じた臨機応変な動きを意識して戦うのは、あくまでも基礎を固めた後です。抑えるべき要素、覚える順番を間違えずにタンクロールと使っているジョブへの理解を深めていってください。